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食総合研究所 うまいもん探偵団

THE INSTITUTE OF WUMYMON EPICURES

「うまいもん探偵団」

終戦後の或る日、疎開先の島根県の片田舎に外国製のバターの配給があった。パンが無い頃で、私達は薩摩芋につけ大喜びで戴いたが、 村の人達の中には初めてのバターが好みに合わず臭いと捨てる人も出てくる始末で、ずいぶん勿体ない事でした。本来、人間は食物に保守的でありそれ自体は意味があるが、最近の様に多くの人々が旅の中で、またその街でも、色々な食文化に接し生まれて初めての食べ物を食する機会が増えて来た。時には喉も通らぬ物もあるが、自分の食世界が拡がる楽しみがある。 数年前から親しい友人である角田さんとその事について語し合っている中に、食に関する情報を組織化しようと言う事になって、それが来る7月29日「ナニクウ」に神戸うまいもん探偵団設立総会を開催する事になった。この探偵団は種々の料理ごとに部会を設け、資格審査を通った探偵が数名でもってできるだけ多くの料理店を調査の上、報告を上部組織に提出するが、さらにその調査は単なる美味追求だけでなくそれにまつわる事柄をも調べて整理し、それらの資料が発表に価する時期になれば多くの人々に広く情報を提供する事を第一の目的とするものです。また、一方その調査の機会を通じて有名老舗だけでなく新進有能な料理人さんの応援にも力を入れたい。 最近、商店街の人通りに淋しさを感ずるが、南京街には普通の日でも人通りが絶えず、その多くは食事目的の人々であります。未だ我々の年代では粗食は美徳であり、美食を排する考え方が根底にあります。しかし私達は、食事が単なる生存のためでなく、健康、幸福追求の観点から、さらに都市の魅力から捉え、豊かなる食文化が根づく街、感性豊かな街としての神戸に何らかの役に立つものと信じています。

*うまいもん探偵団創立総会に際して

1994.3.28

食総合研究所・うまいもん探偵団

初代所長 島田光夫(故)